「シルクロード・天山回廊」が世界遺産登録に成功したことは、新疆の経済発展、特に観光業および国際交流には大きなプラスになると信じている。

私は新疆へ一度も行ったことはないが、新疆に対する関心は小島康誉先生のおかげで結構強い。いままで多くの外国人が新疆へ行って、大きな貢献をしてきた。その中で最も注目されているのは日本人の小島先生である。

これは、2011年9月に中国新疆ウイグル自治区政府主催で「日本友人小島康誉先生新疆来訪30周年記念活動」が挙行された事が明確に示している。中国で外国人への顕彰行事が行われる事は珍しく、しかも20周年に続いて行われた。中でも日本人に対して、このような例は聞いたことがない。

なぜ、小島先生がそれほどまでに高く評価されているかと考えると、それは、シルクロードをはさんで遠く離れた日本と新疆の相互理解をコツコツと30年も実行してきたからである。

シルクロードは多くの民族が往来した民族の道である。民族間では言葉も文字も考え方も宗教も異なる。そのために争いもあった。それでも各民族は相互理解を少しずつしながら往来してきた。つまりシルクロードは民族の道であり、相互理解の道である。小島先生はそれを実践してきた人である。

私は「中国青年報」の記者であったが、33歳の1991年8月に私費留学生として成田空港へ到着、荷物は布団などの生活用品だけだった。日本は物価が高く買えないと思ったからだ。新潟大学大学院で学んだ。96年に情報誌「日本僑報」を創刊、99年に「日本僑報社」を設立し、これまでに250冊以上の中国人と日本人の書籍を出版してきた。例えば『在日中国人大全』・『永遠の隣人』・『日中和解・共栄への道』・『新中国に貢献した日本人』・『迷路悟道』・『中国の対日宣伝と国家イメージ』・『温家宝の公共外交芸術を探る』・『湖南省と日本の交流素描』・『わが人生の日本語』・『日中中日翻訳必携』などである。

その目的は中国と日本との相互理解を促進するためである。日本で中国人の評判が決して良くない中、ここに至るまでの苦労は並大抵ではなかった。乗っていた自転車を盗難自転車と勘違いされ警官に「身分証を見せて」と求められたこともあった。理髪店へも行けなかった。

日本にも中国にも相手国を研究している学者は多い。いくら口が上手くても行動が伴わなければ意味がない。私の書籍出版やネット発信は具体的活動であり、日中間の相互理解に貢献できたと信じている。

私が20数年間、活動してこられたのは、日本人の温かい友情と中国への関心によっている。その顕著な例が毎週日曜日、西池袋の公園で開いている「中国語サークル」であり、多くの日本人や中国人が参加する。中国での日本語作文コンクール、日本での中国語作文コンクールにも毎回多数の応募がある。日中関係はたえず揺れている。振り返ってみると中国と日本の関係は二千年近い友好往来時代、戦争時代、国交断絶時代、その後の時代に大別される。この中の戦争時代から今も大きな影響を受けているのが日中関係である。相互理解の難しさがよく分かる。

先日、私と小島先生は丹羽宇一郎前中国大使と会見した。小島先生は大使に「理論だけでなく、段さんのように日本で、私のように中国で相互理解を実践している人も少なくない。そんな相互理解実践事例の大型写真展やシンポジウムを、今のような厳しい時こそ、両国の多くの都市で開催したらどうでしょう」と提案した。大使は興味を示され関係部門に話すと言われた。

昨今、厳しい日中関係が続いている。こんな時こそ、中国で国際貢献をし、相互理解促進を実践して、中国人から高く評価されている日本人がいることを知って欲しいと、昨年、私は『大きな愛に境界はない』を出版した。2011年、新疆ウイグル自治区政府が特別開催した「日本友人小島康誉先生新疆来訪30周年記念活動」の一環で出版された『大愛無疆』(韓子勇主編)の日本語版(趙新利訳)である。

中国人30人ほどが小島先生の活動を書いている。その中から、今回世界遺産となったキジル千仏洞と小島先生との縁にふれた二人の文を次に紹介したい。新疆の文化財全般を管理している新疆ウイグル自治区文物局の盛春寿局長とキジル千仏洞などクチャ周辺の遺跡を管理している新疆亀茲研究院の張国領副院長である。なお『大きな愛に境界はない』に興味ある方は日本僑報社(03-5956-2808)まで連絡ください。