平成最後、新元号に移行の年明け。新年最初の寄稿は美術表現における時代を反映した3つの展覧会を取り上げる。時代の遍歴をアートでたどる特別展「Oh!マツリ☆ゴト 昭和・平成のヒーロー&ピーポー」は、兵庫県立美術館で3月17日まで、古陶磁の細部を高度に抽象化した写真による企画展「オブジェクト・ポートレイト」は、大阪市立東洋陶磁美術館で2月11日までそれぞれ開催中だ。もう一つ新しい時代の夜明けを伝えた「世紀末ウィーンのグラフィック デザインそして生活の刷新にむけて」は、京都国立近代美術館で2月24日まで催されている。京阪神の3展覧会のチラシのタイトルには英字が表記され、絵画中心の美術展とは様変わりで、多様な展覧会の現在地を知る上でも注目される。

兵庫県立美術館の特別展「Oh!マツリ☆ゴト 昭和・平成のヒーロー&ピーポー」Heroes and People in the Japanese Contemporary Art
時代や社会を見据えたテーマ展に約400点

兵庫県立美術館にとって、平成最後を飾るテーマ展である。こうした展覧会は、企画者の確固たるコンセプトを基に出品作品の選定や、多岐にわたる所蔵先への出品交渉や借用作業など課題が多く、減少傾向になっている。そうした中、昭和から平成にかけて多様な表現を展開してきた作品や資料約400点を集めての展示だ。その内容も美術の領域に止まらず、紙芝居、マンガやアニメ、特撮といった大衆的メディアまで網羅している。

 

まずこの展覧会の趣旨やタイトルについて、担当学芸員の小林公さんが、図録で「企画の成り立ちは、社会的・政治的事象に関心を向ける美術作品や活動に対する興味からだった」とし、「『Oh!マツリ☆ゴト』とは、おまつりごとの意。すなわち祭事、政事の両方を重ねて意味するもの」と明言している。

 

こうした企画趣旨を踏まえ、特別な存在「ヒーロー」(カリスマ、正義の味方)と無名の人々「ピーポー」(公衆、民衆、群集)という対照的な人間のありかたに注目。「ヒーロー」は、「ピーポー」が直面する困難やその願いを映し出す鏡としての、あるいはその存在に姿を与える触媒としての役割を担っているという。なお聞き慣れない「ピーポー」とは、英語の「people」のことで、小林さんが、ひねり出した造語とか。

 

このような問題意識のもとに、「ヒーロー」や「ピーポー」とは何かという問いに応えようとしてきた昭和と平成の時代に生まれた作品を、6つのセクションに分け構成した。さらに表現方法は異なるものの、共通して「ピーポー」に寄り添う姿勢を持つ会田誠、石川竜一、しりあがり寿、柳瀬安里の4人のアーティストがこの展覧会のために制作した最新作を会場内にコーナー展示しているのも見どころだ。

 

各セクションの内容と、主な展示作品を画像とともに取り上げる。まず「集団行為 陶酔と閉塞」では、広がる格差や理不尽な差別に抗議する様子などが描かれた作品だ。阿部合成の《見送る人々》(1938年、兵庫県立美術館)は、日の丸の旗の下、出征する兵士を見送る人たちの険しい表情が印象的だ。柳幸典の《バンザイ・コーナー》(1991年、横浜美術館)は、ウルトラマンを並べ、一糸乱れぬ秩序だった集団行動を象徴させている。先見性と独自性で一時代を画した漫画雑誌《ガロ》(青林堂)も一覧展示している。

 

阿部合成《見送る人々》(1938年、兵庫県立美術館)

阿部合成《見送る人々》(1938年、兵庫県立美術館)

漫画雑誌《ガロ》(青林堂)の一覧展示

漫画雑誌《ガロ》(青林堂)の一覧展示

 

次に「奇妙な姿 制服と仮面」。「普通」の人とはまるで異なる奇妙な姿の怪人物などの表現世界を捉えている。その代表作として、鈴木一郎作・永松武雄[健夫]画による《黄金バット》(1931 年頃、個人蔵)は、髑髏にマントの出で立ちで異彩を放ち、20世紀ヒーローの先駆けとなる。ここでは平田実の《「反戦のための万国博」における万博破壊共闘派のためのパフォーマンス 大阪城公園》(1969/2018年)なども取り上げられている。

 

鈴木一郎作・永松武雄[健夫]画《黄金バット》(1931 年頃、 個人蔵)

鈴木一郎作・永松武雄[健夫]画《黄金バット》(1931 年頃、 個人蔵)

平田実《「反戦のための万国博」における万博破壊共闘派のためのパフォーマンス 大阪城公園》(1969/2018 年)   ©Minoru Hirata/Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography/Film

平田実《「反戦のための万国博」における万博破壊共闘派のためのパフォーマンス 大阪城公園》(1969/2018 年)
©Minoru Hirata/Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography/Film

 

「特別な場所 聖地と生地」のセクションでは、特定の場所にスポットを当てたタイガー立石[立石紘一]の《哀愁列車》(1964年、高松市美術館)は、新幹線の開通した東京オリンピックの年の制作で、SLなど置き去りにされる風景を描く。「戦争 悲劇と寓話」では、非常事態に否応なく組み込まれたひとびとを表現した絵画や、子供向けの雑誌や漫画、紙芝居も紹介。鶴田吾郎の《神兵 パレンバンに降下す》(1942年、東京国立近代美術館〔無期限貸与〕)や、田河水泡の《のらくろ総攻撃》表紙原稿(1937年、提供・株式会社講談社)などが並ぶ。

 

タイガー立石[立石紘一]《哀愁列車》(1964年、高松市美術館)   ©Tiger Tateishi Courtesy of YAMAMOTO GENDAI

タイガー立石[立石紘一]《哀愁列車》(1964年、高松市美術館)
©Tiger Tateishi Courtesy of YAMAMOTO GENDAI

鶴田吾郎《神兵 パレンバンに降下す》(1942年、東京国立近代美術館〔無期限貸与〕)

鶴田吾郎《神兵 パレンバンに降下す》(1942年、東京国立近代美術館〔無期限貸与〕)

 

「日常生活 私と私たち」では、個人の生活と社会との関わりに注目し、中村宏の《四世同堂》(1957年、宮城県美術館)や、赤瀬川原平の《警察バンザイ》(1971年、個人蔵)などを展示。展示空間を縫うように、「私たちの時代の表現」として、4人のアーティストのコーナーがあり、会田誠の新作《MONUMENT FOR NOTHING Ⅴ~にほんのまつり~》(2019年)は、ガリガリに痩せた旧陸軍二等兵が国会議事堂に指をかけている大型のインスタレーション作品で目を引く。さらに特撮ヒーローの元祖でもある《月光仮面》(1958年、川内康範/宣弘社)や、《ウルトラマン》(1966-1967年、円谷プロ)などのトピックス展示も設けられている。

 

中村宏《四世同堂》(1957年、宮城県美術館)

中村宏《四世同堂》(1957年、宮城県美術館)

赤瀬川原平《警察バンザイ》(1971年、個人蔵) ©1971/Akasegawa Genpei 協力:SCAI THE BATHHOUSE

赤瀬川原平《警察バンザイ》(1971年、個人蔵)
©1971/Akasegawa Genpei 協力:SCAI THE BATHHOUSE

会田誠《MONUMENT FOR NOTHING Ⅴ~にほんのまつり~》(2019年)

会田誠《MONUMENT FOR NOTHING Ⅴ~にほんのまつり~》(2019年)

『月光仮面』(1958年)© 川内康範/宣弘社

『月光仮面』(1958年)© 川内康範/宣弘社

かつて朝日新聞社時代に4美術館学芸員らと取り組んだ「戦後文化の軌跡 1945-1995」展を思い起こしながら会場を巡った。絵画や彫刻など美術のみならず写真、建築、デザイン、ファッション、いけばな、映像、マンガにいたる様々な視覚文化を検証しようという壮大なテーマ展だったが、今回の展覧会も新元号に移行する年に、時代や社会を見据えた豊富な展示内容だった。メセナより採算性重視の美術館事情のなかで、こうして展覧会を開催したことに拍手を贈りたい。

大阪市立東洋陶磁美術館の企画展「オブジェクト・ポートレイト」
Object Portraits by Eric Zetterquist
古陶磁を撮影し、抽象画のような写真作品に

この企画展は、アメリカのアーティストであるエリック・ゼッタクイスト(1962年~)による写真作品34点を、被写体となった開催館所蔵品とともに展示する新たな試みだ。「オブジェクト・ポートレイト」は、古陶磁の細部を高度に抽象化したシリーズ作品で、ゼッタクイストは「東洋と西洋、そして古代と現代の出会い」だと、位置づけている。

 

エリック・ゼッタクイストは、オハイオ州のヤングズタウンに生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動している。1992年までの10年間、現代美術家の杉本博司(1948年~)のもとで働き、その間に現代的な写真表現と東洋の古美術を学んだ。これまでにフィラデルフィア美術館(2014年)やバンコクの東南アジア陶磁美術館(2016年)において、それぞれの所蔵作品を撮影した「オブジェクト・ポートレイト」シリーズの展覧会を開いてきた。

 

日本初となった彼の主な作品を、プレスリリースなどを参考に、被写体の陶磁器とともに紹介する。まるで抽象絵画を思わせる写真作品は、2016年に撮影後デジタル加工して制作されている。現代美術の展覧会であり、やきものの展覧会でもある。同時にそれら二つの作品の関係性について比較しながら鑑賞すれば、ゼッタクイストの表現力の巧みさと、陶磁器のすばらしさを堪能できる。

 

まず中国陶磁の古典で頂点とされる《青磁 八角瓶》(南宋時代・12-13世紀)。ゼッタクイスの作品は、墨の滲みを思わせる山水画のスタイルで、作家によると、前景には小舟が浮かび、小路の先の山上に滝と楼閣が見えるような心象風景をイメージし表現したそうだ。具象的な陶磁器の写真から、抽象化された独自の表現へと昇華させている。

 

左)《青磁 八角瓶》(南宋時代・12-13世紀)撮影 六田知弘 右)エリック・ゼッタクイスト《青磁 八角瓶》(2016年)

左)《青磁 八角瓶》(南宋時代・12-13世紀)撮影 六田知弘
右)エリック・ゼッタクイスト《青磁 八角瓶》(2016年)

 

次に唐草装飾がシンプルになった《青磁劃花 葉文 八角水注》(北宋時代・11世紀、龍泉窯)。モノクロームの色面で構成される写真作品に顕著に反映される。水注の頸部と注ぎ口の間の空間を切り取って、単純に幾何学的な形状に捉えられ、あっと驚くような作品に仕上げている。

 

左)《青磁劃花 葉文 八角水注》(北宋時代・11世紀、龍泉窯)撮影 六田知弘 右)エリック・ゼッタクイスト《青磁劃花 葉文 八角水注》(2016年)

左)《青磁劃花 葉文 八角水注》(北宋時代・11世紀、龍泉窯)撮影 六田知弘
右)エリック・ゼッタクイスト《青磁劃花 葉文 八角水注》(2016年)

 

樽形の庭園用の椅子である《白磁透彫 蓮花文 盆台》(朝鮮時代・16世紀)は、蓮花文の透彫が施されている。ゼッタクイスト作品の黒点の配置は、「透かし」の部分にもとづく。このランダムに配置された黒い点は、線で結ばれ、陶磁作品とは異なるリズムを生み出し、新たに蓮花文の生命力あふれる造形表現となっている。

 

左)《白磁透彫 蓮花文 盆台》(朝鮮時代・16世紀)撮影 六田知弘 右)エリック・ゼッタクイスト《白磁透彫 蓮花文 盆台》(2016年)

左)《白磁透彫 蓮花文 盆台》(朝鮮時代・16世紀)撮影 六田知弘
右)エリック・ゼッタクイスト《白磁透彫 蓮花文 盆台》(2016年)

このほか《青磁 水仙盆》(宋時代・11世紀~12世紀、汝窯)や《青磁陽刻 双鶴文 枕》(高麗時代・12世紀)も、ゼッタクイストの写真作品では、まるで楕円形や長方形の図案のようにシンプルな表現になっている。

 

《青磁 水仙盆》(宋時代・11世紀~12世紀、汝窯)撮影 六田知弘 右)エリック・ゼッタクイスト《青磁 水仙盆》(2016年)

左)《青磁 水仙盆》(宋時代・11世紀~12世紀、汝窯)撮影 六田知弘
右)エリック・ゼッタクイスト《青磁 水仙盆》(2016年)

《青磁陽刻 双鶴文 枕》(高麗時代・12世紀)撮影 六田知弘  右)エリック・ゼッタクイスト《青磁陽刻 双鶴文 枕》(2016年)

左)《青磁陽刻 双鶴文 枕》(高麗時代・12世紀)撮影 六田知弘
右)エリック・ゼッタクイスト《青磁陽刻 双鶴文 枕》(2016年)

 

この企画展の見どころを、担当学芸員の宮川智美さんは、「彼の作品は、詩的でエレガントなものもあれば、ユーモラスな面もあります。まずは、平面作品が陶磁器のどこを写したものなのか、考えてみてはいかがでしょうか。ゼッタクイストに導かれるように、知らず知らずに陶磁器の造形的な魅力に触れることになります。一方で彼の作品は、一見すると写真とは思われないような表現で、いくつもの興味深い問いかけをしてくれています」とコメントしている。

京都国立近代美術館の「世紀末ウィーンのグラフィック デザインそして生活の刷新にむけて」 Graphics in Vienna aruound1900
新しい時代にふさわしい芸術を探る300件

「時代にはその芸術を、芸術にはその自由を」という有名なモットーを掲げてウィーン分離派(正式名称:オーストリア造形芸術家協会)が結成された1897年から第一次世界大戦勃発の1914年にかけて、ウィーンではグスタフ・クリムトやヨーゼフ・ホフマンらを中心に、新しい時代にふさわしい芸術そしてデザインのあり方が模索され、数多くの素晴らしい成果を生んだ。一般的に「世紀末ウィーン」と呼ばれるこの潮流のグラフィック作品に焦点を当てた展覧会だ。

 

京都国立近代美術館では2015年に、アパレル会社の創業者の平明暘氏が蒐集した世紀末ウィーンのグラフィック作品コレクションを収蔵。今回の展覧会では、この300件にのぼる膨大なコレクションの全貌とともに、平明氏旧蔵のリヒャルト・ルクシュによる石膏彫像や、アドルフ・ロースの家具一式をも加え、世紀末ウィーンの息吹と魅力を展開している。

 

会場入り口の正面にリヒャルト・ルクシュの2体の《女性ヌード》(1905年頃、武蔵野美術大学 美術館・図書館)の石膏像が出迎えるように展示されている。展示構成は4章立てで、左回りに会場を巡回し鑑賞していく。図録やプレスリリースを参考に、各章の内容と、主な作品を紹介する。

 

会場入り口の正面に展示されているリヒャルト・ルクシュの2体の《女性ヌード》(1905年頃、武蔵野美術大学 美術館・図書館)

会場入り口の正面に展示されているリヒャルト・ルクシュの2体の《女性ヌード》(1905年頃、武蔵野美術大学 美術館・図書館)

 

1章は「ウィーン分離派とクリムト」。芸術・デザインの刷新を求めての活動は、展覧会と機関誌『ヴェル・サクルム(聖なる春)』の刊行だった。分離派の中心人物であるクリムトの《蔵書票やその後継者》(1900年頃)や「右向きの浮遊する男性裸像(ウィーン大学大広間天井画《哲学》のための習作)」などが展示されている。クリムトの後継者であるエゴン・シーレとオスカー・ココシュカの素描作品もある。

 

グスタフ・クリムト《蔵書票やその後継者》(1900年頃) グスタフ・クリムト「右向きの浮遊する男性裸像(ウィーン大学大広間天井画《哲学》のための習作)」

左)グスタフ・クリムト《蔵書票やその後継者》(1900年頃)
右)グスタフ・クリムト「右向きの浮遊する男性裸像(ウィーン大学大広間天井画《哲学》のための習作)」

2章の「新しいデザインの探求」では、カラー印刷技術や写真製版技術の発展を背景に、当時、デザイン刷新の参考とすべく刊行された数多くの図案集が並ぶ。ベルトルト・レフラー(編)『ディ・フレッヒェ(平面)-装飾デザイン集 第Ⅱ巻』(910/11年)もその代表だ。ここではアドルフ・ロースの《壁付家具》(1904年頃、武蔵野美術大学)も出品されている。

 

ベルトルト・レフラー(編)『ディ・フレッヒェ(平面)-装飾デザイン集 第Ⅱ巻』(910/11年)

ベルトルト・レフラー(編)『ディ・フレッヒェ(平面)-装飾デザイン集 第Ⅱ巻』(910/11年)

アドルフ・ロースの《壁付家具》(1904年頃、武蔵野美術大学)

アドルフ・ロースの《壁付家具》(1904年頃、武蔵野美術大学)

 

3章は「版画復興とグラフィックの刷新」。19世紀における写真の発明は、それまで視覚情報の複製や記録といった役割を担ってきた版画の存在意義を大きく揺るがし、芸術としての版画への模索という動きを生み出した。当時西欧で大きなブームとなっていた日本の多色木版画が、絵画に比して廉価ということもあり普及した。木版画やリトグラフなど多様な版画手法における新たな試みや、試行錯誤のえる素描の魅力などを探っている。

 

その代表作として、ルートヴィヒ・ハインリヒ・ユンクニッケルの《三羽の青い鸚鵡》(連作「シェーンブルンの動物たち」より、1909年頃)や、カール・モルの《ハイリゲンシュタットの聖ミヒャエル教会》(1903年)などが展示されている。
最後の4章は「新しい生活へ」で、美術雑誌や挿画入り雑誌だけではなく、様々な媒体を通してグラフィックにおける新たな試みは生活における新たな意識を生み出すことにも繋がった。

 

ルートヴィヒ・ハインリヒ・ユンクニッケルの《三羽の青い鸚鵡》(連作「シェーンブルンの動物たち」より、1909年頃)

ルートヴィヒ・ハインリヒ・ユンクニッケルの《三羽の青い鸚鵡》(連作「シェーンブルンの動物たち」より、1909年頃)

カール・モルの《ハイリゲンシュタットの聖ミヒャエル教会》(1903年)

カール・モルの《ハイリゲンシュタットの聖ミヒャエル教会》(1903年)

 

表紙:モーリツ・ユンク、装丁:カール・オットー・チェシュカによる『キャバレー〈フレーダーマウス〉上演本』第2号(1907年)や、フランツ・フォン・ツューロウの《月刊帳》1915年3月版など魅力あふれるデザインが、日常生活に彩を添える。

 

表紙:モーリツ・ユンク、装丁:カール・オットー・チェシュカによる『キャバレー〈フレーダーマウス〉上演本』第2号(1907年)

表紙:モーリツ・ユンク、装丁:カール・オットー・チェシュカによる『キャバレー〈フレーダーマウス〉上演本』第2号(1907年)

フランツ・フォン・ツューロウの《月刊帳》1915年3月

フランツ・フォン・ツューロウの《月刊帳》1915年3月

 

展覧会を監修した国立西洋美術館の池田祐子・主任研究員は展覧会図録に次のようにコメントしている。

ウィーン分離派は、「豊かな人々のための芸術と貧しき人々のための芸術の区別」を撤廃することを目標に掲げ、あらゆる人のための芸術を目指した。当然ここには男女の区別も存在しない。世紀末ウィーンにおけるグラフィックの、芸術の豊かさは、彼女たち(女性芸術家・デザイナー)の活躍にも支えられていたのである。

 

グラフィック作品がずらり展示されている会場

グラフィック作品がずらり展示されている会場

なおこの展覧会は、目黒区美術館にも巡回開催(4月13日~6月16日)する。さらに東京では、「クリムト展 ウィーンと日本1900」(4月23日~7月10日、東京都美術館)や、「クリムト、シーレ 世紀末への道 ウィーン・モダン」(4月24日~8月5日、国立新美術館)も開催され、今春は「世紀末ブーム」を呼びそうだ。