第1ステージ

ツールドフランスの第一ステージ。これは、普段のタイムトライアル以上に重要な価値がある。今日勝った選手が、自転車選手の憧れ、マイヨジョーヌを手に入れることが出来るからだ。
コースは13.8km。コーナーが多く道幅が狭いが、完璧なフラットコース。特性的には、タイムトライアルスペシャリストのマルティン、カンチェラーラ、フルームよりも地元、ドゥムランやサガン、クフィアトクフスキーなど短時間高出力系でコーナリングが得意な選手が向いている。
気温は33度。ヨーロッパ人は暑い環境には慣れていないので、特にフランス、ベルギー、ドイツ、オランダのような涼しい国の選手は苦労した。レース前は召集所までアイスベストを着て、ジャージに氷を仕込んでのスタートとなった。一方、アデレード生まれのデニスにはあまり問題なく、さらにドーフィネの後はわざと気温の上がる午後2時から5時にかけてトレーニングし準備してきた。
デニスの勝因はスタート時間。ヨーロッパは夕方になるにつれ気温が上がるので、38番目のスタートを選んだ。さらに、先にスタートすることで、自身は午後プレッシャーに苦しめられず、逆に後続にプレッシャーを与えられると考えていた。しかし、ゴール後3時間半は気が休まらなかったとコメントしている。
後半にスタートした総合勢は、気温と若干の風に悩まされた。しかし、総合勢はみな同じ条件で4強間で差がついたものの、タイムトライアルが苦手な選手にとってはむしろ例年より距離が短く、数十秒の範囲で抑えられたタイムトライアルはラッキーだったといえるだろう。
今日はみな平等に暑さに苦しめられた。自身最後のツールと公言しているカンチェラーラは最大限コーナーを攻める走りをしたが届かず、時代の終焉を感じさせた。ドゥムランは地元の大歓声の中、無線も聞こえない状態で出走。前の走者にコーナーで詰まってしまいタイムを失った。しかし、それだけで届くタイム差ではなかっただろう。マルティンは途中でチェーン落ちがあった。これで何秒失ったか分からないが、これが短距離タイムトライアル。
デニスのステージ優勝はサプライズとも言われたが、むしろ完璧な準備をし、パーフェクトな走りをしたデニスは将来、ポストエヴァンスといわれるに十分な走りをしたように感じる。

(参考)
・”Everything went perfectly,” Dennis
・”It’s the longer efforts I’ve been training for and I’m happy to have that out the way,” Froome
British former Olympic champion Chris Boardman set the previous fastest individual average speed over a Tour de France stage with 55.152 km/h at the 7.2km prologue of 1994.The Australian rode 13.8km in 14 minutes and 56 seconds at an average speed of 55.446 km/h, with German Tony Martin five seconds behind in second.
・デニスの記録は、今までのツール、ステージ平均速度最速記録を更新した。 BBC
・アデレード生まれなのでこの暑さは問題なかった。暑い日が続くと予想していたので、ドーフィネの後はわざと気温35〜40度になる午後にトレーニングしていた デニス cyclowired
・2月8日に52.491kmのアワーレコードを樹立するも、ダウセットとウィギンスに記録を更新されており、55kmオーバーの記録をアワーレコードに欲しい記録だといった
Not 100% the right colour, but nevertheless nice #TDF2015 トニーマルティン
・明日は自信がある トニーマルティン 前日の記者会見でのコメント
・The heat has killed me トニーマルティン FB
・I expected something higher, something bigger. But that’s sports. カンチェラーラ FB
・“That was pretty tough out there for such a short course. I’m happy to have got this first stage out of the way and all the main contenders are in the same ballpark. When you compare my rivals, I’d have taken being positioned between [Vincenzo] Nibali and [Alberto] Contador if you’d have offered me that at the start of the day. There’s not much in it at the moment and I’m pretty happy with that.
・“As for the course, the early starters may have had a slight advantage as it sounds like the wind picked up a little bit towards the end. I definitely prefer longer time trials, and longer efforts are what I’ve spent time training for – to be good in the mountains. This intense effort was different from that but a good lung opener ahead of what’s to come.
・“It was hot. Everyone was feeling the heat but I’d much rather it was like that than the other way, with it being very cold.
“We haven’t talked much about tomorrow yet, we’ve been focusing on today. We’ll go through the route for stage two this evening. I know I have a team that can look after me and we’ll aim to use them in the right way.” フルーム team sky web
・グランツールの開幕はいつだって難しい。以前にTTを走ってからずいぶんと間隔が空いてしまった。かなり厳しい結果になってしまったが、身体的には好調に感じている。 キンタナ cyclowired
・Today after a few kilometers Tony got hit by a plastic cap on the road, and the impact made his chain drop to the middle ring. Tony lost a second to shift back to the big ring. But it’s a really small detail and it didn’t make the difference between a victory and 2nd place Sport and Development Manager Rolf Aldag etixx HP
・マルティンは60Tのフロントギアで出走。彼は暑さに負けたと言っていたが、マネージャーはコース上に落ちていたものを踏んでチェーンが落ちかけてたとこを直すのに手間取ったことを指摘。
・デニスは暑くあることを承知で出走を早め、普段から暑い中でのトレーニングを行っていた。出走を早めたのは、前半にタイムを設定することで後続にプレッシャーをかけるためで、決してサプライズの優勝ではない。
・グランデパールは史上最も暑いといわれている
・デニスのマイヨジョーヌバイクは元々準備されており、レース後2時間で組まれた。
・デニスはTTバイクにスポンサー外のホイール等使用。
・ニーバリのみ(?)ボトルゲージをつけての出走。おそらく空気抵抗削減のためのものでボトルの中身は空。
・UCIルールにより、8km以上のタイムトライアルは、プロローグではなくタイムトライアルと定義されている。
・13.8km down 3330km to go… Geraint Thomas twitter

第2ステージ

海の中でゴールする第2ステージ。高低差わずか6m、山岳ポイントの設定されていないコースは「海風」さえ吹かなければピュアスプリンター向けのイージーなコース設定。しかし、オランダ。ワールドポートクラシックのような横風で集団が分離するのは目に見えている。ゴールまで生き残ったスプリンター達の戦い、またボーナスポイントによるマイヨジョーヌ移動も見ものだ。
レースはセレモニーをユトレヒトで行った後スタート。ツールドフランスの初逃げを狙う選手がたくさん現れると予想されたがすんなりと4人の逃げが形成された。ゴール地点には嵐が襲っており、フラムルージュや看板も撤去されているほど。それを警戒し各チーム温存作戦なのだろう。
中間スプリント、メイン集団がペースを上げ、チェコTTチャンピオンのバルタ以外は集団に吸収。誰もがバルタの敢闘賞を予想したが、結局クフィアトコフスキーに取られてしまった。
ラスト70km地点でスカイ、ティンコフ、エティックスの総攻撃が開始。横風、雨、落車により集団はいくつにも分断された。ここではやはり春のクラシックに強いチームや選手、またベルギーやオランダ人の経験が活かされた。コンタドールも横風は苦手だが、チームメイトに助けられ前方に位置。一方、アスタナ、モビスターは経験値の低さが集団後方に取り残される原因となった。
ラスト15kmでは集団は30人弱。今日の優勝候補、サガンはパンクに見舞われたが、天才的な技術で復帰を果たした。集団にはスプリンターも多数残っている。特にエティックスはマルティン、カベンディッシュも残っており、ステージ優勝、マイヨジョーヌの両方が見えた。ゴールスプリント。一番人数をそろえていたのはエティックスだったが、激しい向かい風の中、レンショーにラスト250メートルで発射されてしまったカベンディッシュはゴールまで届かなかった。一番スマートだったのはグライペル。ギャロパン、シーベルグに守られ、ゴールに飛び込んだ。マイヨジョーヌ争いは、デニスの脱落により、マルティンの可能性が濃厚だったが、スプリントは全く伸びず、逆にカンチェラーラに4秒のボーナスタイムを取られ3秒差で逃した。カンチェラーラは自身最後のマイヨジョーヌのチャンスが今大会と言っており、目標のマイヨジョーヌ着用30日まであと1つとした。マルティンはゴール後、カベンディッシュにスプリントを教えられたが、カブがもがけといったときにはすでにもがいていたんだよと話す。
総合勢はフルーム、コンタドール、TJが先頭でゴールし、大きな差を稼いだが、皆口々に日々変化するのであしたからまたどうなるかは分からないとコメントしている。
予想通り「風」によって明暗が分かれる結果に。早くも総合で大きなタイム差が生まれ近年のツールではめずらしい展開だが、明日以降もミニ・春のクラシックと呼ばれる主催者の嫌がらせのようなコースで順位がめまぐるしく変わるのは明白だろう。

(参考)
“This was the first stage I could win, it’s magnificent that I did. This is a fantastic reward for the team and me. In the Tour everyone starts from zero, it are the results here that count. This determines if your season is successful or not. A victory at the Tour is at least as double important as anywhere else.”
“We had a plan before the start and did a recon last Wednesday. We were focused today, but not stressed. I finished it off, but this victory one is of the entire team. I win a Tour stage for the fifth year in a row, but it’s the first time my wife is here so that makes it even more special. I’m wearing the green jersey for the first time in my career, that’s a nice extra. Tonight I will enjoy this victory and then we’ll see what happens the next days.” グライペル lotto HP
水曜日に下見に来て作戦を立てていた。初めてのマイヨベール、初めて奥さんが観戦に来てくれたところで勝てたのは特別だ。ツールでの一勝は少なくとも他のレースの2倍以上の価値がある。
“its always special”
“I did not have it in my mind to beat anyone, just on the yellow. I was just behind peter and I was waiting and waiting.” カンチェラーラ trek HP
カンチェラーラは自身29度目のマイヨジョーヌを手にした。最後のツールでTTでマイヨジョーヌを取ることが出来なくて落胆し、良く寝れなかったが今日はステージ優勝よりもGCだけを考えて走った。本当は明日取ろうと思っていたが嬉しい。マイヨジョーヌはいつでも特別だ。
最後は足を攣っていてスプリントがうまく出来なかった。
“I think Mark Renshaw went a little too early and it left me hanging a bit,”
“With a headwind finish I didn’t want to go with more than 200 meters to go.
Read” カベンディッシュ etixx HP
レンショーのリードアウトが長すぎた。200mの向かい風の中でのスプリントはギャンブルだった。
“I’m really thankful to them for keeping me towards the front all day, I really needed them, especially when those splits happened. Everyone was hoping that storm was going to hold off until after the finish but it wasn’t to be and I’m just glad things worked out as they did.
“When we found out, myself and Alberto [Contador] talked on our bikes, and he was saying ‘we’ve got the gap so let’s commit to this move and both buy into it’.  フルーム sky HP
とにかくカオスだった。トーマスとスタナードが終始助けてくれた。攻撃はコンタドールと話して仕掛けた。
“I’m happy with the way we raced today. It was a day where one could build time advantages. It’s a pity there was number of teams such as BMC or Sky that didn’t start working until late in the stage. However, at the end they gave us a hand and I’m satisfied with the result. In what regards myself, it wasn’t very tiring and in addition we avoided having any crashes”, コンタドール thinkoff HP
最初はスカイもbmcも引いてくれなかったが、最終的には協調が取れて満足している。落車もなく良かった。
“same shoulder as 3 weeks ago. Was told its going to be the most painful 3 weeks 4 me. I eat pain for breakfast. Bring it on” ハンセン facebook
鉄人、アダムハンセンはグランツール11レース連続完走記録をもち12レース目に挑戦中。落者で脱臼をしたが、痛みは朝飯と一緒に食ってやるという鉄人らしいコメント。
・実はツール最初の国外グランデパールの地もオランダ。(1954 アムステルダム)
・サガンは終始コンタドールのサポートに徹し、ゴール前でパンクするも復帰し、スプリントに加わるところは流石。