第13ステージ

ピュアスプリンターには厳しいが、ブルターニュの壁や、ユイの壁よりもスプリンターにチャンスのあるステージ。後半にはいくつかのカテゴリー山岳が設定されているため、カベンディッシュやグライペルには少し厳しいだろう。やはり今日も、そろそろ勝利の欲しいサガンが、上りでアシストをつけて勝負する展開が予想された。

スタートと同時に逃げが形成される。しかし、今日は最後の展開で勝負をしたいチームもたくさんおり、各チーム早々に集団をコントロールする。さらに、今日は珍しくティンコフが先頭で集団をコントロールするシーンも見られた。チームオーダーはコンタドールの総合争いから、チームでのステージ優勝を取るためにサガンをサポートすることに切り替えた。開幕前はサガン自らもコンタドールのために働くといっており、スプリントではアシストなしでの勝負となっていた。レース後、サガンはチームに感謝の気持ちを述べている。

逃げ集団は最後の山岳地帯に入ってもいいペースで逃げ続け、逃げ切りも見えてきた。ラスト5kmで30秒。最後が上りであることを考慮すると若干厳しいが、集団がお見合い状態になればチャンスはまだある。

上りに入り、ラスト500m。バンアーベルマートが勢いよく飛び出し、逃げる先頭を吸収。番手に付けたのはサガン。後ろは中切れが起きて勝負は二人に絞られた。お互いにかなり厳しそうな表情だが、ここはサガンが有利。最後の若干勾配が緩くなる瞬間を狙って番手を維持し続けた。そしてラスト。サガンが遂に勝利をつかむと思われた瞬間、バンアーベルマートも意地のもう一踏み。サガンはまたも数秒、仕掛けるのが遅れて勝利を逃した。

サガンはおそらくここまで後一歩のシーンが続き、今日はなんとしてでも勝利が欲しいと思っていただろう。さらに、最後もサガン向き。誰もがサガンの勝利を信じていた。ティンコフさんも400万円のテレビを壊してしまったのだから相当なものだろう。

 (参考)
“I saw a wheel, but I didn’t know who was there,”
“I went really early because in Le Havre (on Stage 6), everyone was waiting. So I tried to go from the bottom. ヴァンアーベルマート BMC HP
後続のホイールは見えたけど、誰かは分からなかった。きょうは早めに仕掛けた。第6ステージではみんな最後まで待ちだったからね。だから下からかけたんだ。
“It was my mistake because I was waiting for too long and when we came near the top I was in the wheel of Van Avermaet but I should have continued to push out of the saddle. I could have won but I should have continued past him, when I came to his wheel. I want to thank all my teammates for the effort they put today for me” サガン facebook
今日は僕のミスだ。長く待ちすぎた。番手に付けてからすぐにもがくべきだったよ。勝てたけど彼を追い越す必要があった。今日のチームメートの働きにはすごく感謝しているよ。
I just wanted to be useful for the team because I do not feel in great shape currently. It is only getting worse for me with this crash. Right now, all my body is hurting me but I will be ready for tomorrow’s stage.”   ペロー AG2R HP
調子があまり良くなかったから、チームメートを探したんだ。落車によって余計悪化した。身体はぼろぼろだけど、もう明日の準備は出来ているよ。
i fucking crashed my Bang&Olufsen TV set. the team was working hard, he was well positioned, but…no karma ティンコフオグレディー twitter
バングオルフセンのテレビを壊しちゃったよ。チームは良く働いているしサガンは完璧だった。でもカルマが無いよ。

第14ステージ

序盤から山岳をこなし、一旦下った後ゴール前に複数の山岳が設定されているステージ。クライマーより、パンチャー向きな、また逃げも後半ペースの上げやすいコース設定だ。今日の優勝候補は逃げに乗った中で最も最後の上りのパンチ力がある選手だろう。

ステージ勝利が誰よりも欲しいサガンが、積極的に逃げを打つ。中間スプリントポイントで点数を加えたため、マイヨベール争いに大手をかけた。サガンはこの日、中間ポイントを狙うために逃げに乗ったが、ゴールまで逃げ切ることは想定外だったという。やはりここまで上位フィニッシュを挙げ続けているサガンは、相当調子がいいのだろう。

メイン集団は、この日も暑さに見舞われて、逃げる大集団を追うことはしなかった。しかし最後の上りは短いながらも破壊力があり、集団でゴールできるとは考えにくい。総合勢の中でも最後の上りで争いが予想された。

逃げは大きいため何度かその中からもアタックが見られたが、最後の上りに入る頃にはもう一度振り出しに戻された。フランス人軽量クライマー、バルデとゴティエが飛び出し、追走は厳しい状況に見られた。上りをこなし、最後の平坦に入る。2人はその間牽制が入ってしまった。すると、どこから現れたのか、今年から南アフリカのチームに移籍したカミングスがかなりのスピード差でコーナーで交わしていく。クライマーではないが、トラック競技を行うカミングスにとって最後の平坦区間にはいってしまえばクライマーには追いつかれることはない。フランス人の2人はあせってスプリントを開始するが、目の前にあったステージ優勝のチャンスを仲良く失う結果となってしまった。カミングスは以前、同じゴールのコースを走っており、平坦路があることを知っていたため、上りを必死に耐えた。誰もがフランス人の優勝を予想しただろう。最後まで何が起こるかわからないところがロードレースの楽しみだ。

総合勢は短い上りに強いフルームとキンタナがパワーで押し切り先着。フルームはゴールスプリントでキンタナから1秒稼ぎ出した。スカイ、フルームは1秒たりとも相手に与えない。ウィギンスが優勝した頃から徹底している。

第15ステージ

スプリンター向けのステージが極端に少ない今大会。今日はフラットなコースとは言いがたい、ゴール手前60kmに2級山岳のあるステージ。スプリンターをふるい落とし、逃げ切りの展開もあるが、スプリンターはここで勝利を逃してしまえば、アルプスを越えてシャンゼリゼにたどり着かなければならないのでチームのアシストにはなんとしてでも逃げを最終局面で潰してもらわなければならない。

レース開始直後、アタック合戦が繰り広げられ、ゴールスプリントの展開でも勝負できるサガンも逃げに乗る。ゴールスプリントで勝負したくないチームが逃げに加わるが、やはり今日は集団が逃げ切りを許さない。スプリンターを抱えるチームが積極的に逃げを射程圏内に捕らえながらレースを進めて行く。ここまで、アップダウンのあるコースの中、ハイスピードでレースが進んでいったので、体調不良のカベンディッシュを含むグルペットが早々に形成された。

2級山岳に入るとまた人数を減らしていき、最終的にゴールスプリントまで持ち込めたのは僅か60人強となった。有力なスプリンターはグライペル、クリストフ、サガン、デゲンコルプ、ボアッソンハーゲン、コカールなど。最後までトレインを形成できたのはロットソーダルのみ。若干グライペルの飛び出しが早かったようにも見えたが、グライペルを越えることが出来る選手はいなかった。

(参考)
・サガンは逃げ集団からメイン集団に戻るときに山岳用のs-worksからスプリント用のvengeに乗り換えたが、その時にバイクカメラが車の目の前に止まってしまい危険な状況となった。監督がカメラに向かってボトルを投げ、彼は今大会2人目の監督1日追放となった。

第16ステージ

2回目の休息日前、最後のステージは数々の伝説が残っているマンス峠を下るギャップまでのステージ。アームストロングが前方のベロキが落車したのちシクロクロススタイルでコースに復帰した映像は10年以上たった今尚見る機会が多い。上りの破壊力はそこまで無いものの、やはり狭くてテクニカルな下りをいかに利用してゴールまで逃げ切れるか。ダウンヒルスペシャリストによる争いが期待できる。総合勢、フルームは下りを得意とはしておらず、タイム差も十分あることから思い切った攻めのダウンヒルはしてこないだろう。一方、タイムを大幅に失っているニーバリ、コンタドール、バルベルデは多少のリスクを犯してでも協調して下りをこなせば1分程度タイムを縮められそうだ。

前半から逃げを狙うアタック合戦が続く。総合勢、特にスカイは最終局面でステージ優勝が絡んでしまうとリスクが高まるためなんとしてでも逃げに逃げ切って欲しいのだろう。各チーム、全力で逃げを図る。逃げは20人を越える集団となった。そして、連日のように逃げに乗るサガン。いままでマイヨベールがここまで逃げていることがあっただろうか。逃げ集団はメンバーも良いが、誰一人サガンがいることをウェルカムとは感じていないだろう。ダウンヒルのテクニック、ゴールスプリントの脚、どちらもサガンに敵う選手はこの中にはいない。なんとしてでも最後の上りで攻撃を仕掛けサガンを振り落とすしか無い。サガンは1人で全選手のアタックに反応しなければいけない展開となり、一番脚を使わされる立場になったが、それでもマンス峠まで先頭に残ることができた。

マンス峠に入り、いよいよ勝負が始まる。クライマーやスプリント力が無い選手は総攻撃を仕掛けサガンを振り落とすしかなかった。最初はプラサ。彼も上りの力がずば抜けているわけではないが、じわじわと追走を引き離し、山頂では1分近い差を築いた。一方、残されたメンバーは、サガンを警戒しているのか、プラサを軽視しているのか、なかなかペースが上がらない。サガンに引かせるだけ引かせている。今シーズン、ツアーオブカリフォルニアで山岳での急成長ぶりを見せたサガンがまたみんなを驚かせる。急勾配の箇所がないとは言え、そうそうたるクライマーがサガンを引き離すことは出来なかった。

約1分差でサガングループは下りへ。下りでサガンは全員を引き離すことが出来たが、さすがに1分のタイム差を縮めるには距離が短すぎだ。今大会5回目の2位。しかし、今までのスプリントステージや逃げ切りでのステージで上位に食い込んだのとは違い、大きな山岳を越えて上位でゴールできるようになったのは、サガンがまた1ランク強さをあげたように思える。

総合勢は、タイム差が大きいニーバリが果敢に下りを攻め僅かではあるが稼ぐことに成功した。トーマスはバルギルに突っ込まれ落車。たしかにTJと接触はしているものの明らかに強引なコーナーへの突っ込みで、トーマスだからこそ大きな問題にならなかったものの他の選手であれば大問題になるような走りであったのは間違いない。

 (参考)
This triumph gives happiness to the team and to me. In this Tour de France, we have been unlucky and we suffered for tjhe withdrawal of our captain Rui Costa, who won here two years ago. We tried hard to hit an important target, we did not give up and we made a lot of attempts attacking or fighting in the sprints プラサ lanpre HP
この大勝利はチームと僕に幸せをもたらした。今年のツールは我々はアンラッキーで、2年前、このステージで勝っているキャプテンのルイコスタを失っていた。我々はあきらめず攻撃の機会を作った。
 “If you don’t try, you gain nothing. I tried and funnily I always have second places. But it’s okay, I’m very happy with my effort. I might have some bad luck because everybody is looking at me in the race and follows me, when I try. Today, nobody wanted to work on the final climb but I tried to keep the race open. Well, I have a good lead in the points classification but Tour de France is crazy and everyday something can happen and I have to make it to Paris” サガン facebook
挑戦しなければ何も得られない。僕はいつも挑戦して、おかしなことにいつも2位なんだ。でもこの結果に十分満足している。僕がアタックしたらみんなが付いてきてみんながマークしてくる。今日は誰も最後の上りで前に出てくれなかったが、僕は挑戦し続けた。ポイント賞争いがゴールだ。だけどツールは常におかしい。何が起こるかわからないからね。
“Just before the bend, Tejay van Garderen touched me with his shoulder and my finger slipped off the brake,” Barguil said. “I couldn’t brake. I was very scared, I thought I’d go straight [off the road].” バルギル velo news
曲がる直前、TJの肩がぶつかって僕の指がブレーキから外れた。とても怖かった。このまま直進して落ちるかと思ったよ。
 “Warren [Barguil] was trying to come over the top of me, and I was trying to hold my position at the front to stay safe,” TJ velo news
バルギルが僕のことを抜かそうとしたんだけど僕は安全のためポジションを守ろうとした。
 “It was a matter of who brakes the latest, and he was just willing to take big risks,”
トーマス velo news
大きいリスクを取って最もブレーキを最後までかけなかった人が原因だよ。
 I know why @petosagan still hasn’t won #TDF2015, because he never had Tinkoff Bank Card,now he will! tinkoff.ru/debit/ it is easy now ティンコフオグレディー twitter
なぜサガンが勝てないかって?ティンコフバンクのカードを持っていないからだよ。彼はこれから作るよ。