第7ステージ

今年はピュアスプリンターに厳しいコースレイアウトといわれているツールドフランス。今日を逃すと、山岳ステージ後までスプリンターにはきついステージが続くのでなんとしてでもスプリンターは勝利が欲しい。ツールが始まってから調子のいいグライペルが3勝目になるか、それとも他のスプリンター勢が一矢報いるか。

スタート直後、地元ブルターニュセジュの2人と山岳賞テクレハイマノット含む5人が逃げに乗った。ブルターニュはフランスの中でも特に自転車が盛んな街。トップアマチュアチームが多数存在し、世界中の若者がブルターニュでプロを夢見て生活している。大きな山は無いが、大柄な選手が多く、横風、細い道、小さな丘などタフな選手がたくさん生まれる環境だ。

序盤の山岳ポイントはテクレハイマノットが獲得。これで山岳ステージまでジャージをキープできる可能性が大きくなった。今大会、序盤からタフなステージが続いていたので今日もメイン集団は一定ペースで進んでいった。

しっかりとメイン集団は逃げを吸収し、ゴール前へ。今日はロットソウダルがトレインを組む。先頭付近には強力なスプリンターが集り、サガンもコンタドールの仕事を終え、グライペルの後ろに付ける。最初に飛び出したのはグライペル。その後ろにカベンディッシュが付け、最後はイン側からグライペルを刺しきった。サガンはアウト側に広がってしまったことが敗因だろう。

etixxはマルティンを失ったもののまたも強さを見せ付けた。カベンディッシュも、新しいvengeに乗り換え、自信を付ける2年ぶりのツールステージ優勝を獲得できた。残るスプリンターのためのステージはピレネー後とシャンゼリゼ。カベンディッシュ、グライペルをはじめ山岳を苦手とするスプリンター達はいかにして足を残しながら山岳ステージを切り抜けられるかが注目だ。

(参考)
“The last two sprints the team did well, I’ve just been too anxious and gone too early. The thing about Le Tour, in another race you maybe wait. In Le Tour you don’t want to wait. In another race you maybe got one or two guys coming around you. In Le Tour you have 10 guys coming around you, there are so many strong sprinters and teams here. If you hesitate, you lose the stage.
I’ve grown with this team. I’m really happy. You’ve seen the ambience we’ve got here at Etixx – Quick-Step. We’re like a family, we’re always there for each other, and we share the same goals.  etixx HP
前の2回のスプリントステージはチームが良くやってくれた。でも僕が勝ちたい欲が強すぎて早く仕掛けすぎちゃったんだ。ツールは他のレースとは違う。待たなきゃ行けない。でも待ちたくは無いんだ。他のレースなら相手は1人か2人だけど、ツールには強いスプリンター、チームが10人いる。びびったら負けだ。
僕はこのチームで育ってきた。家族みたい。同じゴールを目指してるんだ。カベンディッシュ
・カベンディッシュは今季でチームとの契約切れ。延長するか、移籍するか未だ決っておらず去就も注目される。

“It’s not easy, that’s for sure. But it will come, just be patient. It was a very difficult sprint but I think I’m doing well. I didn’t crash and I was there in the finale. I was on Degenkolb’s wheel just before the final sprint and then I was on the wheel of André Greipel in the final meters but Cavendish was very fast today. I gave it my best and now I look forward to tomorrow and then we’ll start to think about the team time trial. I think the most important is that I’m in good condition and I have avoided crashes and I will definitely try again”, サガン facebook
・間違いなく簡単ではなかった。かなり難しいスプリントだったけどよくやったよ。落車もしなかったしスプリントもできた。最後はジョンの後ろに付いた後、グライペルに乗り換えたけどカベンディッシュが今日は一番早かった。チームはタイムトライアルに照準を合わせてる。そこまでにベストなコンディションをつくり明日はまた挑戦するよ。

・カベンディッシュはnew vengeを投入。初めて。
・カベンディッシュはレース後、グライペルのライン取りをジェントルマンと賞賛。
・カベンディッシュ、2年ぶりのステージ優勝

第8ステージ

ユイの壁に続くブルターニュの壁にゴールする第8ステージ。ユイの壁よりは難易度が低いが、今日も軽量級のパンチャーによる争いとなるだろう。また、サガンは前日までに11秒差の2位につけており、今日のステージでフルームに1秒差以上付け優勝すれば、自身初のマイヨジョーヌ獲得と同時にマイヨベール、マイヨブラン3賞獲得出来る可能性が高かったので、各国のメディアで注目された。

レースは今日も地元ブルターニュを中心にスタートアタック合戦が繰り広げられ、4人の逃げが形成された。フランスでは今日からバカンスに入る人も多く、普段以上に観客が観戦に訪れた。

中間スプリント。想定以上に逃げ集団とタイム差が縮まっている。メイン集団でスプリントポイントを稼ぎたいのはグライペル。今日はゴール争いに絡める可能性が低いので、なんとしてもここで2位サガンと差を広げておかなければならない。結局、サガンはゴールスプリントのためにか、本格的に争いはせずにグライペルの後方で通過した。スプリントポイント争いで集団から抜け出してしまった十数名は、メイン集団につかまる前に先頭に追いついてしまう。その中で新たな逃げが形成され、ゴールまで進むこととなった。

ラスト8km。逃げは吸収され、集団では激しい位置取り争いが繰り広げられる。集団前方で登りに入れなければ、相次ぐ中切れで後ろから上り始めた選手は無駄足を使うことになってしまうからだ。序盤はスカイを中心にペースアップ。飛び出すことの出来ないスピードへと上げていく。その後、一番の急勾配区間で3人が抜け出すも、フルームが自分の調子を確かめるかのごとくペースを上げ、一旦吸収された。今日の優勝候補、サガンは前のほうに上がってきているがアシストがいない。そこからヴィエルモが再度アタック。追う選手はすぐに現れずどんどん差が開いていく。マーティンが追走に出るものの、既に差は十分広がってしまっていた。集団先頭はスプリント力のあるバルベルデが制しており、サガンの3賞獲得は夢に終わった。

ファンタスティック4はニーバリを除いて同じ集団内でゴールしている。ニーバリは序盤で遅れ、ライバルから10秒失うことになった。レース後、調子が悪いバットデイだったと認めている。3週間の中で全てベストコンディションを維持できる選手はいない。これが超級山岳だったら取り返しの付かない差になりえないが、10秒で済んだので、TTT等の差を考えると最小限に抑えることが出来た。また、キンタナ、コンタドールも同タイムでゴールしたもののどこかまだ完璧なコンディションではないように見えた。

一方、フルームはユイの壁に続き調子の良さをアピール。ここがピークでなければ、いま一番強い選手はフルームで間違いないだろう。

(参考)
“It is just incredible, I did not think it could be possible.”
“I have a lot of thoughts about my dad. He passed away three years ago, I hope he is proud of me and saw me today” ヴィエルモ AG2R HP
ただ信じられない。勝てるとは思わなかったよ。この勝利を父にささげたい。私のことを誇りに思ってくれて、今日見てくれていればいいな。

“The finale was very hard because we did full gas from the bottom to the finish line. I took the decision to stay with Froome and in the last hundred meters I tried to accelerate but I was in the red zone and Valverde beat me, while I wasn’t fully able to do my sprint. I was hoping to take the win but the two guys up front did a strong attack and for sure, it’s nice to be back into the green jersey. It’s only with a three-point advantage but I will do my best to stay in the lead. I am very happy with the points I took and I don’t see why I should be disappointed” サガン facebook

今日は下から全開だったからきつかったよ。最後100mまでフルームについてスプリントする予定だったけどバルベルデに負けた。既にレッドゾーンに入っていたんだ。勝ちたかったけど2人のアタックは素晴らしかった。グリーンジャージを取れてよかった。3ポイント差だけど取られないように頑張るよ。すごくうれしいしなんでがっかりしなきゃいけないのかわかんないよ。
I was in the wheel and I tried to help Peter in the final part but it was impossible to set it up at that moment. コンタドール tinkoff HP
・最後、サガンのアシストをしたかったんだけどあの時は限界で無理だった。

“My team-mates did such a good job of bringing me into the foot of the climb in a good position. Once I hit the front I felt I’m here, I might as well just push on a little bit and see how the legs are feeling and also the response from the group behind. フルーム sky HP
・チームは登りが始まるとこまでよく働いてくれた。少しプッシュしてみて調子の確認とライバルの調子を伺った。

第9ステージ

きつい1週目を過ごし、疲労が溜まっている中でのチームタイムトライアル。通常、ステージレースではスタートして1週間以内にチームタイムトライアルを行うことがUCIのルールで定められているが、今大会に限り特例で9日目に設定された。見る側は展開が面白くなるので嬉しいが、選手、スタッフ、特にメカニックは喜べないスケジュールだろう。

コースは小さなアップダウンがあるものの距離は短く、タイムトライアルが苦手な総合上位選手にとっては山岳ステージを前にタイム差を最小限にとどめやすいコース設定。5番目にゴールした選手のタイムで競われるこの競技に強いチームはエテッィクスとBMC、そしてオリカ。しかしエテッィクスはマルティンを失っておりオリカはすでに6人しか残っていない。ステージレース中のタイムトライアルは、総合に関係がなければ休息日と割り切って走ることも珍しくないので、ステージ優勝争いは接戦にはならないだろう。

優勝は、第一ステージのチャンピオン、デニスのいるBMC。昨年はラッキーな形で世界選手権での優勝を挙げたが、今大会TJが総合争いに加わっておりチームの雰囲気は絶好調のようだ。フルームとの差もわずかではあるが縮めることに成功した。2位はスカイ。フルームを始め、平地のスペシャリストを揃えているので一時はステージ優勝も見える走りだった。

今日1番のサプライズはモビスター。キンタナの総合優勝のため、強力なTTスペシャリストを揃えフルームとの差を最小限にとどめることに成功した。キンタナはTTが課題と言われていたが、今大会はチームとコースに助けられ2つのタイムトライアルを無事こなすことに成功した。

長くてとにかくハードだった今大会の1週目。1週目で上位に出てくると思われたディフェンディングチャンピオン、ニーバリは逆に大きくタイムを失ってしまった。コンタドールも調子はいまいち。うまくこなせたのはフルームはもちろんだがTJとキンタナ。特にキンタナは2分弱のタイム差なら十分ひっくり返すことが可能だろう。TJもフルーム、キンタナと互角に山岳で戦える力はまだないが、十分パリでの表彰台が見えてきた。