第5ステージ

ようやくプロトンに平穏が訪れるはずだった。前日までの春先のクラシックレースさながらのステージが終わり、通常のツールの平坦ステージ。山岳ポイントも無く、ステージ優勝の有力候補は既に1勝を上げているグライペル。トップコンディションでないといわれてるカベンディッシュが本来の力を取り戻すかも注目だ。

レースは冷たい雨の中スタート。さすがにどこのチームも疲労が見え、逃げの二人はすぐに容認された。集団は比較的落ち着いて走っているように見えたが、集団内で雨が原因でコフィディス4人を含む落車が発生。この中にフランス期待のスプリンター、ブアニも巻き込まれた。小さいながら爆発的なスプリント力を持つ。ツール開幕1週間前に行われたナショナル選手権で落車し、腕を骨折して一度は出場を危ぶまれたが強行出場。わずか10日間で3度目の落車で、さすがの元ボクサー・ブアニも心が折れてしまったのか、一度もスプリントに絡む前にツールを去ることとなってしまった。

その後も断続的に落車が発生。ペースが極端に遅いことと、その中でも位置取り争いが起きていたことで集団内の密集度が上がりすぎた。ジャックバウアーも落車によりレースを去っている。さらにレース後半、横風の影響で集団は2つに分裂。後ろに取り残されたグループは前に追いつくことは無かった。

ゴール前、集団は100人弱。エティックスが前に人数をそろえたが完璧なトレインとはならなかった。どのチームも強風と疲労でリードアウトできるチームがいない。最後はスプリンター達の直接対決となった。今大会絶好調のグライペルが2勝目。サガンはコンタドールの位置取りをした後、単独でスプリントに挑んだがあと数十メートル足りなかった。しかし、一番伸びのあるスプリントを見せたのはサガン。アシストがいない状況の厳しさが結果として現れた。カベンディッシュはやはりこのステージでも精細を欠いた。

ゴール後、皆口々に疲労と落車について語った。マルティンはようやく、今大会初の2日連続マイヨジョーヌ獲得者となれた。

(参考)
I think it was a pure sprint. There was no lead-out for any of us, it was man to man. Sagan moved up quickly at the left, I hadn’t seen him, but it’s the result at the finish line that counts.” グライペル lotto HP
ピュアスプリントだった。みなリードアウトがいなかったから男同士の闘いだった。サガンは素早い動きをしたようだけど見れなかった。まあ結果が全て。
 I was free to do my own race in the last five kilometers and I tried to position myself but a lot of riders came from behind and I had too many meters to make up in the final hundred meters”
It was also very crazy today with rain, wind and a lot of crashes and I’m happy with how we finished. Everybody wants to be at the front on a day like this to protect the team leaders and that creates tension in the groupサガン facebook
ラスト5kmで自由になって自分のレースになったけどラスト100mまで上がるには後ろ過ぎたよ。
あとは今日もクレイジーだった。雨、風、たくさんの落車の中セーフティー二ゴールできてよかった。みんな今日みたいな日はリーダーを前で走らせようとするからそれが緊張感を生むんだよ。
I was going OK, but they just were going faster.  カベンディッシュ etixx
調子はよかったただ周りが強かった。

“I couldn’t sleep so well last night,I fell asleep maybe at 2 o’clock in the morning and woke up early again, But it was OK for me. I woke up feeling well, thinking directly about the yellow jersey. It gave me a lot of power and morale today in the race. I hope I can find more sleep in the next nights, or else I won’t see Paris (laughs).  マルティン etixx
実は全然寝れなくて2時に起きちゃった。でも大丈夫。マイヨジョーヌが力を与えてくれるんだ。今夜はたくさん寝れると良いね。じゃなきゃパリまでたどり着けなくなるから

ステージ6

ツールに遂に平穏が訪れる。暖かい気候、4級が3つの海岸線を走るアップダウンが多いコースだが、疲労と傷を負った選手にとっては恵みのステージとなるだろう。勝負の分かれ目はラスト1.5kmの上り基調のゴール前。ピュアスプリンターがぎりぎり残れないくらいの強度でサガンやデゲンゴルフといった上れるスプリンターや、上り始からアタックできるパンチャー優位のコースだ。

逃げには、2日連続、ユーロップカーのケムヌールが乗った。彼は逃げのスペシャリスト。パンチ力も登坂力も無い選手だが、誰よりも早くスタートラインに立ち逃げる姿勢を見せる。テクレハイマは山岳賞狙いで前半から動いていった。

後半、集団がタイム差を縮めたところでボクレールがアタック。素晴らしいタイミングで、前にチームメイトがいることから一時は逃げ切りも見えたが、程なく集団に吸収された。

集団は1つのままゴール地点へ。やはり今日も最後まで平和なステージとはならなかった。スプリンターとパンチャーが激しい位置取り争いをし、集団前方で落車が起きた。マルティンは左肩から落車。ニーバリ、フルーム、キンタナなども巻き込まれることとなった。3km以内なのでタイム差は変動なし。しかしここで集団は分断され、前でクリアできた選手の中でのゴール争いとなった。

スティバールがアタック。ここでもまた、エティックスの選択肢の多さが有利に動いた。見る見る集団を引き離し、追走に出る選手がいない。スティバールは仮に追いつかれてもスプリント力のあるクフィアトコフスキーやカベンディッシュで勝負できるからだ。取り残された集団では牽制が起きる。みな、サガンまち。サガンも集団を牽引しようとはせずその間にスティバールが逃げ切った。集団は、やはり一番足を残していたサガンが取っている。

マルティンは鎖骨が皮膚に刺さりかかるほどの大怪我。しかし痛みに耐えながらチームメイトに背中を押されゴールにたどり着いた。表彰式にも涙をこらえながら出席。彼はプロフェッショナルなアスリートだ。

やはり今日の勝因もエティックスのチームの組織力。エース級の選手がたくさんいることで他チームを翻弄している。一方サガン。今大会、プライオリティーはコンタドールにあるとしており、ゴール前は単騎での戦いとなってしまっている。確実に上位入賞を重ねてくるので、周囲からのマークも激しい。しかし、彼がトップコンディションであることはここ数日のレースからして間違いなく、型にはまれば確実に勝つ可能性がある。マイヨベール争いも、ステージ2勝のグライペルと肉薄しており、今後、上り基調のステージでいかにポイントを量産できるかがみものだ。

(参考)
.’ I then rode to bring Cav to the front, but saw he was in a bit of difficulty. In that moment I was in the wheel of Van Avermaet, Sagan, and Kristoff. I also saw that they didn’t have any helpers left. So I thought if I go now, the one who will close the first gap to me will lose the sprint, so maybe no one will chase. So I gave it all or nothing as we decided with the team スティバール etixx
下りで下がりすぎちゃったけどカベンディッシュを引き上げようとしたんだ。でも彼には厳しそうだった。その瞬間、後ろにはヴァンアーベルマート、サガン、クリストフがアシストなしでいることを確認した。だから今行けばギャップを作って誰もスプリントのために追ってこないと感じたんだ。
Then Stybar attacked, where the climb flattened and the group didn’t have the legs. I said to the other riders that I wasn’t going to pull because they were all looking at me”
“If I had gone to the front to pull, I wouldn’t win the sprint. I’m still happy with my second place because it’s still some points for the green jersey サガン facebook
スティバールがアタックした時、グループの中に足がある奴がいなかった。僕はみんなに先頭を引かないよ、みんな僕のマークしかしてないからといったんだ。もし、前に追いついてもスプリントする足は無かった。2位だけど、マイヨベールのためにポイントが取れたし良かったと思うよ。
. “The team put me in a really good position. On the last kilometer no one had the energy left to continue the speed. Everything slowed down, everyone was waiting. Then suddenly I hit the rear wheel of the rider in front of me. I thought I almost could stay upright, but then I went into a rider of Giant-Alpecin and I had no balance anymore. I crashed at relatively low speed, with my full weight on the left shoulder
I told Stybar to not be sad for me. I told him to enjoy his day, as he deserves it. I am sure the team will keep the morale high. マルティン etixx
チームはいい位置取りをしてくれた。最後はみんなトップスピードを維持する余裕がなかった。全て遅くなった。急に前輪が前の後輪と当たって、避けようとしたらジャイアントの選手とぶつかってバランスを崩したんだ。ゆっくりのスピードだったけど全部の体重が左肩に掛かっちゃったんだ。
スティバールには僕に悪く思うなといった。今夜楽しんでと伝えたよ。チームはもっと良くなると思うよ。
 ・テクレハイマが4級3つを取り、エリトリア人初の山岳賞ジャージを獲得。ドーフィネに続き、山頂手前のスプリント力を見せた。
・スティバールはシクロクロス3度の世界チャンピオン。パヴェステージも狙っていた。
・マルティンは骨折し、耐え切れないよな痛みだったろうが、フィニッシュラインまでチームメイトに助けられながら走り、表彰式にも参加。笑顔も見せた。通常、すぐに病院に搬送されるが、マルティンのプロフェッショナルな一面を見た。その後、骨折が判明し、プライベートジェットでハンブルグに向かい手術を受ける予定。
・マイヨジョーヌを着た状態でツールを去る選手は史上3人目
・2012年、サガンが上りスプリントで圧倒的な力を見せつけフォレストガンプのものまねをしたことで注目を浴び、今日も注目された。
・ニーバリは落車原因がフルームだとしツイッターに投稿したが、その後バスでフルームと映像を確認し謝罪。
・フルームは翌日、総合1位でマイヨジョーヌを着ることが出来るが、決定権はフルーム。
・落車原因は、マルティンは前輪が前のユーロップカーの選手にハすったとコメントしているが、個人的には前の選手が斜行してつられてしまい、右側にいたジャイアントの選手にぶつかりそうになって驚き倒れてしまったのではないか。
・today I was lucky…no crash ポッツァート instagram
名選手、フィリッポポッツァートが、今日は落車が無くて良かったとコメントしている。やはりここからも近年のプロトン内の異常さが分かる。