ジャーナリストの寄稿文
「アートの現在地」を実感できる二つの展覧会
新聞社の企画事業を経てフリーになってからも合わせると4半世紀、アートに関わってきた。全国各地、海外に行っても美術館や博物館に出向き、古今東西様々な美術品を目にしてきた。その表現の多様さと多彩さ、そして何より無限ともいえる …
同時代に生きた東西の奇想の画家、ブリューゲルと雪村
24年ぶりに来日した一枚の絵画《バベルの塔》が話題を呼んでいる。それを描いたフランドル絵画の巨匠・ブリューゲルは今から約500年前の16世紀、独自の奇想の作品を遺した。ブリューゲルが生きた時代、室町時代から戦国時代に日本 …
仏教文化の豊かさ伝える源信展と西大寺展
自然災害は有史以来、地球上の各地で発生してきたが、現代は混迷する国際政治や頻発のテロ、原発事故や核戦争などの恐怖が平穏な暮らしを脅かす。さらに生老病死への不安は永遠の課題だ。こうした時代、人々の生き方を説く仏教は、私たち …
中世ヨーロッパで開花、豊穣で奇想の芸術
14世紀にイタリアで始まり、16世紀にかけて西欧各国に広まった芸術復興の動きはルネサンスと呼ばれ、後世に多大な影響をもたらせた。16世紀後半、イタリアを訪れた天正遣欧少年使節が目の当たりにしたルネサンスの芸術に焦点を当て …
多民族、多宗教共存のマレーシアを再訪
9年ぶりにマレーシアに行った。とりわけ理由があったわけではない。しいて言えばシルクロードをライフワークにしていることもあり、前回行けなかった「海のシルクロード」の要衝の地、マラッカを訪ねたかったことと、都市化の著しいクア …
「女たちの絹絵」ベトナム絵画修復の物語
メジャーな展覧会が動員を競う東京・上野の一角で、16点だけを展示した展覧会が5月に上野の森美術館ギャラリーで開かれた。そのタイトルは「女たちの絹絵」。ベトナムが誇る近代絹絵のパイオニアであった画家グエン・ファン・チャンが …
奇想天外、アドルフ・ヴェルフリ展、東京に巡回
専門的な美術教育を受けず、内的衝動に従って制作する アール・ブリュットを代表する国際的な伝説的芸術家の日本初となる大規模な個展「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」が日本最後の会場として東京ステーション …
ユトリロに、マティスとルオー、その人と作品
絵画は、なぜ人を惹きつけるのであろうか。描写表現の巧みさだけではない。多様で奥深い世界が存在することも魅力に違いない。作品を生み出した画家の生き方が投影されていることに目を向けたい。関西に巡回中の二つの展覧会を取り上げる …
風と水で動く彫刻―「新宮 晋の宇宙船」
無限に広がる宇宙に存在する数えきれない星の中でも、色彩豊かで、様々な光や音が響き合う、とびっきりユニークな星、地球に、一人の人間としてボクは生まれた。これはどう考えても、奇跡としか言いようがない。 風や水な …
奇想天外、アドルフ・ヴェルフリの世界
アール・ブリュットは、少し耳慣れない言葉かもしれないが、近年アートの世界で注目のジャンル。専門的な美術教育を受けていない作り手が芸術文化や社会から距離を置きながら制作した作品だ。その分野を代表する国際的な伝説的芸術家の日 …